親戚の家で、「軍艦春日 遣米記念寫眞帖 大正九年」という写真帖を見つけた。すでに他界した親戚の方が春日の乗組員だったそうだ。大正九年に米国へ航海したときの写真が写真帖として印刷され、乗組員へ配布されたらしい。奥付には編纂者が「軍艦春日寫眞班委員」、大正九年十二月印刷、非賣品、不許複製とある。すでに100年以上前の出版物ということもあり、また保存状態が悪く、虫にも一部食べられており、布張りの表紙も紙も痛んでいる。
この写真帖には5ヶ月に渡る航海の記録として、乗組員の様子はもちろん、完成間もないバナマ運河の風景、米国の風景や風俗等が記録されている。写真班撮影ということだが、絵葉書を印刷したような写真もある。これらは100年以上前の貴重な写真資料と思えるのでディジタル化して紹介したい。まずは巻頭と軍艦春日、当時の艦長 寺岡平吾海軍大佐の写真である。
航海の目的は写真帖には記載されていない。しかし寄港地と写っている写真の様子から訓練と親善のためであったと推測できる。大正9年(1920年)といえば第1次世界大戦(1914年6月-1918年11月)の後である。春日という軍艦について、詳細は調べていないが、アルゼンチンがイタリアに発注した軍艦を建造途中で1903年に日本海軍が購入したものらしい。
写真帖の巻末付録として「大正九年軍艦春日遣米巡航日記」がある。それによると航海は以下の通りである。
大正9年 5月26日
5月26日 横須賀出港
6月5日 ホノルル入港
6月7日 ホノルル出港
6月13日 バルボア入港
6月14日 パナマ運河通過、クリストバル入港
6月26日 クリストバル出港
7月3日 ポートランド入港
7月7日 ポートランド出港、ボストン入港
7月12日 ボストン出港
7月14日 ニューヨーク入港
7月20日 ニューヨーク出港
7月22日 アナポリス入港
7月26日 アナポリス出港、ハンプトンロード入港
8月2日 ハンプトンロード出港
8月6日 ハバナ入港
8月10日 ニューオルリーンズ入港
8月17日 ニューオルリーンズ出港
8月22日 クリストバル入港
8月23日 パナマ運河通過、バルボア入港
8月26日 バルボア出港
9月7日 サンフランシスコ入港
9月11日 サンフランシスコ出港
9月18日 ホノルル入港
9月23日 ホノルル出港
10月14日 横須賀入港
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更新年月日 2009年8月15日